新型コロナウィルス感染再拡大・減少を踏まえた感染予防対策について

新新型コロナウィルス感染再拡大・減少を踏まえた感染予防対策について
2021年9月25日

公益社団法人東京都山岳連盟

顧問ドクター沖陽輔・専務理事廣川健太郎

1,感染者数拡大・減少の状況(厚生省HPから)
(1)感染拡大のあと8月20日~26日をピークに低減傾向へ転換
・ワクチン接種が進んでいるが、感染力の強い変異株へ転換⇒家庭等での感染が増加
⇒拡大は感染力UPに加え、自粛疲れ等で人々の行動緩和が影響していたとの見方もある
・検査数のうち統計集計対象以外の私的検査数増加も感染者増加の一因だったとみられる
(2)重症・死亡者数は減少後に増加、9月に入り再び減少に転じている
・高齢者のワクチン接種が進んだため、この効果で重症・死亡者数は減少傾向だったが、感染者の絶対数増加に伴い重症者数は9月2日~7日まで徐々に増え、以降減少に転じている
(3)自宅療養者の増加、患者・重症者再増加で8月~9月にかけて医療現場がひっ迫
・感染者の絶対数増加で入院加療が必要なレベルの患者への対応が難しくなっていた。
⇒結果、自宅療養が必要な中等症患者が増加、医療現場もひっ迫した
⇒重症者・死亡者数増加で事態の深刻さが認識され、自粛・行動変容が減少につながったとみられる

2,基本の理解と感染予防行動の遵守=感染に関する正確な理解が感染予防の前提
(1)新型コロナウィルスへの感染と発症=基本の再確認
①感染⇒PCR検査、抗原検査でウィルスが検出された状態。
無症状の場合もあるが他人に対し感染させることができる状態
②発症⇒ウィルスに感染し、各種の症状があり、
肺のCT/レントゲン検査でコロナに特有の肺炎像が確認された場合

(2)ワクチン接種の効果と注意が必要なこと
①接種の効果⇒(登山時含め)発症並びに重症化リスク、医療体制の負担を減じることができる。
②但し、接種では感染は防げず、感染すれば他人に対して感染させることがある。
⇒9月後半に入り、接種済者の感染がブレークスルー感染として警戒が呼びかけられている。
⇒本人は抗体ができているので発症しにくく、発症しても軽傷ですむ確率が高い。しかし感染してしまえば他人に感染させる力があることを強く自覚する必要がある。

(3)基本行動
①各個人
・感染予防の基本、ワクチン接種済み、未接種者とも行動の原則は変わらない。
⇒マスク利用、手・顔洗い励行、密の回避と換気、飲酒含む大人数会食自粛など
②集団行動の場合
・各個人毎の基本行動遵守
・検温(事前含む)、ドアノブなど特に手を触れる共用箇所のこまめな消毒
・飛沫拡散防止のため、バス車内での飲食禁止など
・食事の際のスクリーンの設置
・食事以外の懇親会禁止(都岳連事業の場合)
⇒さまざまな状況において基本行動を遵守し、密の回避、換気を行なうことが重要

3,緩和を考慮しても良い点などに関する考え方は?
(1)ワクチン接種済の者同士での行動の可否
・例えば車の同乗、同じテントでの宿泊など
⇒発症リスク・重症化リスクが低い者同士の行動緩和は行ってよいのか?
⇒但し、大前提として、感染予防対策をしっかり行っているもの同士でないと、感染してしまえば
家族や職場同僚など周辺に感染させてしまう可能性がある
(2)ワクチン接種済の者同士の行動は良いという考え方は正当か?
・特に密となり感染リスクの高いテント泊などは引き続き自粛すべきという考え方が妥当か
・接種済、未接種いずれの場合でも予防対策をしっかり行っている者で、相手を限定して行動を共にするのが比較の上では良いが、それで安全が確保されるということではない。しかし不特定多数が密になって同乗する公共交通機関よりは、相手を限定した車同乗を選択することも合理的ではないか
・一部スポーツ競技で採用されている直近PCR検査陰性のもの同士の行動は良いのではないか。
但し、検査陰性でも検査後の期間に感染する可能性はあり、絶対的な判断基準ではありえない。

4,感染力の強い変異株置換により、警戒が必要なことなど
(1)飲酒を伴う会食、コンサートなどの飛沫拡散が発生する場、密な場は引き続き要注意
(2)大人数での集団行動
=狭い空間(バス)等での長時間の共同行動時は感染対策を徹底することが必要
(3)ワクチン接種済者の行動緩和に起因する感染
⇒自分は発症確率、重症化率が低くなっているために行動が緩んだ場合、ウィルス感染者となって家族や行動を共にする人に感染させる可能性がある

5,感染予防のために考えたいこと
(1)リスクが高い属性
①感染者比率が高い地域の居住者
②、①でかつ出勤、通学など外出、集団行動を行なっているひと、特に接客を行なっているひと
③本人は在宅中心でも、①②の属性のものが家族にいるひと

(2)リスクが低い属性
①感染者比率が低い地域の居住者
②、①でかつ在宅勤務、外出が少なく、対人接触が少ない人、かつ家族がいないひと
③家族も含め①、②の属性の場合

6、登山・岳連事業中の健康管理(=チェック)について
(1)体温計測が基本
(2)パルスオキシメーターの扱い
・自宅で定期的に計測し、平常値より下がった場合は肺機能低下や体調悪化を疑うなど、参考にできるが、高山に登った場合はそもそも血中酸素飽和濃度値は下がり、個人差も大きい。
・絶対値で例えば85以下は高度の影響を強く受けているなど、実技講習時は基準となるラインは確認しておいた方が良いと思われる。
以上

「感染状況の推移」と現状認識・お願い