秩父多摩甲斐国立公園内「奥多摩小屋」の存続等について

廃止が検討されている「奥多摩小屋」の存続等について、環境省、東京都、奥多摩町に要望書を提出しました。

平成29年11月8日

環境大臣       中川  雅治 様
東京都知事     小池  百合子 様
奥多摩町長     河 村 文夫 様

公益社団法人東京都山岳連盟
会 長 亀山健太郎

要 望 書

秩父多摩甲斐国立公園内「奥多摩小屋」の存続等について

日頃の貴職による山岳環境の保護行政の推進に心からの敬意を表します。

さて、公益社団法人東京都山岳連盟は、老朽化した奥多摩小屋について平成26年頃から小屋の改修・トイレの改善に向けての提言のため、その基礎となる情報の収集に努めて参りました。

しかし、最近になって奥多摩小屋の管理運営主体である奥多摩町が小屋を閉鎖される方針であることを知りました。そこで、私共は、その経緯等の説明を求めて奥多摩町観光産業課に問合せをして参りましたが、存続できない理由や閉鎖に至った経緯、閉鎖までの具体的な日程等、また、小屋とトイレやテントサイトの代替案など十分な説明が為されたとは言えないと認識しております。

このように私共利用者に対する説明が為されていない状況があるなかで、小屋の老朽部分については一部取り壊しを始めるとも聞いております。このようなことは、これまで奥多摩小屋を利用することで豊かな自然の恵みを享受してきた登山愛好家にとって受け入れがたいことであり、また、登山の事故防止や山岳環境保護の点からも看過しがたい事態であります。

つきましては、下記のとおり奥多摩小屋の存続に関して要望いたしますので、貴職による格段のご配慮により私共の要望が実現されますようお願い申し上げます。

1.奥多摩小屋の維持または再建を求めます

この奥多摩小屋は東京都の最高峰雲取山に隣接する景勝の地に位置し豊かな観光資源です。ここに建つ小屋は「登山者の緊急避難先」としても重要な役割を担ってきました。ヘリポートも設置され救難対策の基地としても利用されています。

2. 奥多摩小屋テントサイトの存続を求めます

この主脈稜線上にあるテントサイトは、奥多摩随一のロケーションを誇る人気のテントサイトで、山小屋の宿泊者以上の多数の利用者があります。

3. 環境に配慮したトイレの設置を求めます

この奥多摩小屋は雲取山のメインルート上にあり、小屋利用者ばかりでなく通過の登山者も多く、奥多摩小屋の「公衆トイレ」の存在は山岳環境保護の観点からその価値は大きいものです。しかし、設備はお粗末で観光資源としての「奥多摩」の魅力を損ねています。東京都の水道水源林にふさわしい衛生的で環境負荷の少ないトイレが望まれます。

4.今後の方針等の速やかな開示を求めます

奥多摩町は既に奥多摩小屋の取壊作業に着手されていると聞きますが、今後の方針については協議中と伺っています。詳細な内容の開示を求めます。

僭越ではありますが、今後、環境省、東京都、奥多摩町の三者の連携により本件が適切に処理されますよう重ねてお願い申し上げます。