2019年末~2020年始における山の気象の記録

気象委員会

東京都山岳連盟に加盟している団体、個人会員及び一般の方の協力により、2019 年末~2020 年始における山の気象デー夕 を収集した。そのデータをまとめた資料を作成したので、気象遭難事故防止や冬山気象の研究に活用していただきたい。

>> 冬山の気象データ詳細記録はこちら (pdf)

期間概況

今期間における上層風(偏西風)の流れは、12月31日~1月1日にかけての気圧の谷が通過した他は、はぼ東西流が卓越した。
このため、大陸方面の強い寒気の南下も起こりにくく、地上の冬型気圧配置も強まらなかった。日本列島の山岳地域も強い風雪の天気に見舞われることもなく、暖冬気味の天気状況に経過した。
日本列島の1月における地上の平均気温は関東以西で、1946年の統計開始以降、最も高くなった。降水量も北日本から西日本の日本海側では、1961年の統計開始以降、最も少なく経過した。

各日毎の気象状況(山のライブカメラと実測)

・12月28日

大陸高気圧が北方から南方にかけて大きく張り出し、高気圧の中心も朝鮮半島付近にあって、広く日本付近をおおう。
このため、日本付近は割合穏やかな天気となり、北ア方面は風弱く晴天ベースで、時々雪雲がかかる程度の天気。
太平洋側の八ヶ岳では稜線に雪雲がかかり、周囲は晴天。富士山も同じように時々雪雲がかかる程度の晴天。
気温は27日より低目に経過し、北アの平湯付近で-5℃を観測。

・12月29日

朝鮮半島方面にあった高気圧は移動性となり、日本列島の上空を覆うようになった。
このため、北日本方面を除いて各地とも穏やかで晴れの良い天気となり、視界も非常に良くなって、気温も上がり始めた。

・12月30日

移動性高気圧も日本の東海上へと移動し、日本付近は大きな気圧の谷が接近し、北ア方面では雪雲がかかるようたなり、天気は下り坂に向かう。
一方、太平洋側の富士山や八ヶ岳でも雲が多くなり、気温も上昇し、上昇のピークを示した。

・12月31日

日本付近は発達した低気圧を伴う気圧の谷が通過し、天気は全国的に悪化し、山岳地域では強い風雪の天気に見舞われた。
このため、日本海側に当たる北アをはじめ各地の山岳では風雪の天気となった。
一方、太平洋側に当たる富士山では雲一つない冬晴れの晴天に恵まれた。
気温は上層の気圧の谷の通過で、上昇はピークに達した。

・1月1日

日本付近にあった気圧の谷は、日本の東方海上へと去り、日本付近の気圧配置は久しぶりに冬型(西高東低型)となった。
しかし、日本付近の気圧傾度は、それはど強いものではなく、季節風の吹き出しも弱く、全般に風雪の天気は弱めに経過したが、視界は雪雲と降雪のため悪い日が続いた。

・1月2日~1月5日

2日以降も大陸高気圧の張り出しが弱く、本州の日本海側の山域では全般に風雪の天気となったが、あまり強いものではなかった。
一方、太平洋側の山域は富士山をはじめ八ヶ岳でも冬晴れの晴天となった。
気温は連日低目の日が続き、1月5日になると最も低くなり、6日以降は急上昇の傾向となった。
(文責 城所 邦夫)