2006年度第2号

総合登山講座を考える

 副会長 瀧島 清

  都岳連50周年記念誌に「あの頃の夢とロマン」と題して、昭和41,42年頃の登山学校構想についての一部を書きましたが、都岳連の登山学校についての考えはその後も出たり消 えたりして現在も続いています。

学校と名がつけば、施設のこと、講師のこ と、内容そして財政面も含めて前提条件が多 く、一挙に実現するにはかなりの困難が伴う と考えられます。そこで、学校への段階とし て現在行われている都岳連の講座や講習会な どを一体化、体系化して都岳連登山講座を開 設し、単位制として選択によっては受講者自 身のレベルアップのほか、指導者を目指す人 には指導員の受験資格を与えるなど多様な要 望に対応できるものとすれば、受講生に希望 や目標が生まれ、受講生の増加が考えられる と共に都民の安全登山に寄与できるのではないかと思います。

講座の内容としては、例えばジュニア、シニアの対応も含めて現在行われている講習会等を犬きな項目にまとめて、この項目のもとに幅広い分野にわたる内容の講座を細分化し、 受講者の要望に応えられるようにすることが 考えられます。

山登りも変質して、以前は日本の山では初期の頃は別としてガイドを伴う登山は考えら れていませんでしたが、現在では立派なガイ ド組織があって需要を満たしているようです。 一方、山に入らなくても身近な施設で行える クライミングが若者の間で人気を呼んでいます。

そして、従来のいわゆるアルペンスタイ ルの一般登山はどうなっているのでしょうか。 かって、この層を育ててきた山岳会や山岳部の活動がやや低調になり、力のある登山者を育てる機能が低下してきているようです。加えて、山には行きたいが、組織やグループに入って訓練や教育で規制されることは好まないという未組織登山者が中高年だけではなく 若者を含めて増えているようです。

一般登山では、登山界全体としての組織は しっかりしていますが、組織対組織の対応が 主になりやすく登山者個人とのつながりは十 分ではないようです。指導員制度もあります が、個の登山者にはあまり機能していないの ではないでしょうか。 このような状況において、未組織登山者や 山岳会の会員も含めて、一般登山者の資質の 向上や指導者の養成が必要です。ここに捉案 する講座はこれに対応しようとするもので、 多くの専門部と多才な人材がいる都岳連なら 可能なことで法人化する都岳連にふさわしい 事業だと考えます。

安心して楽しく山に登れる登山者を育成し て、その役に立つことが公益法人として都民 に奉仕する都岳連の立場です。当面は企画室 で素案をまとめ都岳連全体で取り組むべきだ と考えます。