2009年度第2号
第68回東京国体開催に向けて
副会長 寺内 丈行
東京都山岳連盟の理事になって最初の仕事は競技部の担当でした。趣味でフリークライミングをやっていた事が競技担当になったらしいのです。国体山岳競技は団体戦です。競技規則の中で選手がより高いパフォーマンスを発揮できる環境作りが日課でした。
それから10年山岳競技は質的にもレベル的にも大きな変貌をしてきました。国体山岳競技も当初は縦走競技、踏査競技、クライミング競技と3種目を3人の選手がそれぞれ2種目を競い合う形でした。その頃のクライミングレベルは成年女子の決勝で5.11a程度。今では地方大会の予選でももっと高いグレードで行われます。その後、国体のスリム化のために踏査競技がなくなり、さらに昨年の大分国体からは縦走の代わりにボルダリング競技が加わり、リード競技との2本立で行われるようになりました。参加する選手の数も3名から2名に減り、選手はこの2種目で勝敗を決める大会になりました。競技レベルも格段に上がり、少年男子でも決勝ラウンドは5.13c~dになり、部分的には水平に近い壁での戦いが繰り広げられます。
競技委員会は東京カップというクライミング大会を毎年開催しています。また、国体選手を輩出するために関東近県で開催される様々な大会に選手を送り出しています。国体に参加する度に全国の山岳競技団体から都岳連の動向はしっかり見られています。構成人数においても組織力においても都岳連は全国の山岳連盟(協会)の長としての自覚を持たなければならないことを実感します。
第64回新潟トキめき国体は大過なく盛況の中無事終了しました。これまで国体山岳競技は殆どが山間部で開催され、中々メディアにも紹介されにくい場所で競技が行われてきました。現在、国体山岳競技は人口壁を使ったクライミング競技のみとなり、競技会場は山間部である必要もなくなり、今後は都市部での開催が可能になりました。
4年後の東京国体山岳競技は池袋から準急で20分程の東久留米市で開催されます。都市型の山岳競技です。数年前から東京国体に向けて選手の発掘、育成を行っていますが、国体運営委員や審判、ビレイヤー等役員の養成も急務です。
国体山岳競技は選手、監督、コーチの総数約350名、その他、後催県からの視察員を含めるとおおよそ400名近くが一堂に会します。これを迎える役員は約 320名、更に一般観戦者や開催地区の学校生徒の応援参加を加えると軽く1,000名を越える方々が限られた施設の中に集まります。滞りなく国体を開催するにあたり、都岳連がこの根幹を担う為にはこれに参加する多くの方々の協力が不可欠です。競技委員会に協力していただける方も増えつつありますが、国体競技規則を熟知した国体運営委員資格者を少なくともあと150名は必要です。また、東京国体開催前の春には国体に向けたリハーサル大会を開催し、さらに前年の2012年には関東ブロック大会も同じ東久留米で開催します。
競技登山はクライミングだけではありません。都岳連主催の「日本山岳耐久レース24時間以内・長谷川恒男カップ」も新しい時代を向かえ、若い力を全面に出し、世代交代と共に更なる前進をしています。日頃の鍛錬と高い集中力、持久力を必要とするトレイルランニングも世界的な広がりを呈しています。国体が国内競技の最高峰と言われるならば、縦走競技がなくなって以来、山々を走り回るトレイルランニングの最高舞台を用意する必要があります。現在、社団法人日本山岳協会の中にトレイルランニング小委員会設置の動きがあります。そのためにトレイルランニングを行うための規則作りなども始まりました。
また、都岳連も社団法人として歩み始め、これまで都岳連を牽引してきた森谷前会長も引退し、新しく佐藤旺会長のもと新体制でこれを引き継ぎ、より強固な組織作りが始まりました。私も今年よりこの一翼を担うメンバーとして推挙されました。これまでのように競技一辺倒では済まされない立場ではありますが、微弱ながらもよりいっそうの努力をして行くつもりです。