2010年度第4号

これからの自然保護

    自然保護委員会 委員長 西山 常芳

 この度、東日本大震災で犠牲になられた方々とご遺族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。

また、地震、原発事故で被害を被られた方々に心よりお見舞い申し上げます。一日でも早く、安全で安心な生活が取り戻せます様に祈念しております。

被災地の自然も破壊され、復興にむけての働きかけもこれからの課題の一つではありますが、有史以来、地球上の自然というものはどうだったのでしょう。又、自然保護とはいつごろから唱えられはじめたのでしょうか?

日本と外国ともその思想には温度差があります。イギリス、ドイツ、北欧などは緯度で云うと、北海道より北にあり、カムチャッカ半島などと同じ様な位置にあります。低温、少雨と少ない口照時間、牧畜による林野の牧草化により、「少なくなった自然を守ろう」と言う思想が生まれました。高温多湿で温暖な気候の円本では草木の生育も早く、農耕中心で自然との共生する生活スタイルと言うことも有り、保護という思想が生まれにくい環境ではあったと思います。それでも、徳川家の天領や大名の御領林、村の入り会い地に於いて管理されていたものが保護と言えば保護にあたるのかもしれません。

世界初の国立公園は1872年(明治5年)、米国の「イエローストーン国立公園」が最初で、イギリスのナショナルトラスト運動もこの頃です。1890年にはアメリカの自然保護の父と言われているジョン・ミューアの尽力により「ヨセミテ国立公園」などが制定されました。日本では遅れること60年、昭和6年(1931年)に日本国立公園法が制定され、さらに40年後に環境庁が発足しました。

当時、尾瀬の観光客増加に対応する為に自動車道路の建設計画がありました。建設推進の福島、新潟、群馬の三県の知事に反対していた、長蔵小屋の平野長靖氏などにより工事中止の運動が起こりました。これを受けて、初代環境庁長官の大石武一氏が現地を視察し、建設中止を決定したことは、環境問題に取り組んでいたさまざまな個人、団体の人々の活動へ、勇気を与え、励みとなりました。これが先駆けとなり全国処々で自然・環境・保護活動が起きていることは周知の事実です。

この地球上にあるすべての物、(動植物、菌類、空気、水、温度、土壌、岩石などなど)が深いかかわり合いを持ちながら生態系を作り上げております。人間がその生態系の中で生きていくため、又、末永く我々の子孫に良い環境を残すためにも、保全保持には何をしなければならないかという事を考えることが自然保護と言えるのではないでしょうか?

皆さまにもどのような場所にても良いので、家庭、職場、または山仲間同上にて、自然と環境問題を意識して、それぞれに取り組んで活動していただければ、幸いと思うと共に、期待しております。