伊豆諸島・島の山旅三昧 八丈島
「栄子オバアー、また行くよー」
と、私は民宿ガーデン荘に電話を入れた。栄子オバアーとは、八丈島の中之郷地区の民宿ガーデン荘の女将である。栄子オバアーは島の有名人。八丈島に関する知識が豊富、八丈島料理にも堪能している。東京七島新聞の八丈島特派員にもなっている。2017年には10回もテレビに出たらしい。
「マジマちゃん、待ってるよー」
「夕食は島寿司をお願いねー」
「了解!」
威勢のいい声が返ってきた。元気な女将だ。
ガーデン荘は、その名のとおり植物が豊富。植物に囲まれてゆっくりできる。だから心の洗濯にはぴったり。ご主人は読書家で、図書館並みの蔵書がある。本好きにはたまらない。頭の洗濯にはぴったり。そして、夕食時は島の焼酎が飲み放題。胃袋の洗濯にはぴったり。島寿司で一杯、これがたまらない。たまらないから、しょっちゅう八丈島へ行く。だからお金はたまらない。
夕食時、栄子オバアーと一緒に八丈島のキャッチコピーを考えた。
「ひょっこりひょうたん島というのは最近の若い子は知らないから、八丈島のキャッチコピーにならないね」と、オバアは悩んでいた。
「だったら、山が二つあるから、ブラジャー島、というのはどうかな?」と、私が言うと、
「それじゃ、受けないね」と、あっけなく却下。
「じゃあ、おっぱい島だ。八丈富士には牧場があり、牛乳が飲める。おっぱい島へ行って、おっぱいを飲もう! なんてのはどうかな?」と言うと、オバアーは大笑いして、
「それはいい。それ、もらった」
焼酎を飲みながら相当いい加減に考えたのだが、オバアーには受けたらしい。
八丈島には、八丈富士と三原山という二つの山がある。どちらも眺めのよい名山である。八丈富士に登ったら、お鉢巡りがお薦めである。360度の眺めは秀逸。麓には温泉が数多くあり、登山後の身体の洗濯にぴったりだ。何度来島しても飽きることはない。この名島に私は名前をつけた。
「東京都亜熱帯区おっぱい島」
この洗濯……じゃない、この選択が正しかったかどうかは、今後判明するのだろうか。東京七島新聞に載らないかな?
執筆者:伊豆諸島全島の山を制覇した島好きの山ヤ、真島類治